補助金を活用したいと思ったとき、「そもそも誰に相談すればいいの?」と迷う方は多いのではないでしょうか。
税理士、中小企業診断士、コンサルタント、行政書士…。実は補助金申請には様々な専門家が関わっていますが、それぞれ得意分野や対応できる範囲が異なります。
この記事では、各専門家の役割と強みを整理し、あなたに合った相談先の選び方をご紹介します。
補助金申請に関わる4つの専門家
補助金申請をサポートしてくれる専門家は、大きく分けて4つあります。それぞれの強みと、補助金申請における役割を見ていきましょう。
税理士
税理士は、税務・会計の国家資格者です。企業の顧問税理士として、財務状況を最も深く理解している存在と言えるでしょう。
補助金申請に必要な財務データ(損益計算書・貸借対照表など)の提供や、資金計画の策定では心強いパートナーです。特に、補助金の申請要件に「財務状況」が問われる場合は、顧問税理士の協力が欠かせません。
ただし、補助金の申請書類作成そのものは税理士の本業ではないため、対応していない事務所も多いのが実情です。「顧問税理士に聞いたら、補助金はうちでは対応できないと言われた」というケースも珍しくありません。
税理士の強みは税務・財務の専門知識にあり、補助金申請においてもその部分で力を発揮します。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルティングの唯一の国家資格です。経営分析や事業計画の策定が本業であり、企業の現状を客観的に把握し、今後の方向性を整理する力に優れています。
補助金申請の中でも「事業計画の策定・ブラッシュアップ」の部分では非常に頼りになる存在です。事業の将来性や市場分析といった、審査で重視されるポイントの言語化を得意としています。
ただし、申請書類の作成実務まで一貫して対応するかは診断士によって異なります。経営診断が本業であり、書類作成は専門外という方も多いのが実情です。
事業の方向性を整理したい段階、あるいは事業計画をしっかり作り込みたい段階では、診断士への相談が有効です。
コンサルタント(民間・無資格)
補助金申請のサポートを事業として行っている会社や個人も数多く存在します。国家資格は不要なため、様々な方が参入しています。
実力・信頼性はピンキリです。非常に優秀で豊富な実績を持つ方もいれば、サービスの質に不安がある場合もあります。依頼先を選ぶ際は、実績や評判をよく確認することが大切です。
なお、2026年1月施行の行政書士法改正により、行政書士の資格を持たない方が報酬を得て補助金申請書類を作成することは、法律上認められないことが条文上明確になりました。コンサルタントの方が「助言」や「経営コンサルティング」として関わること自体は問題ありませんが、書類作成の部分は行政書士が担当する形が法的に整理されています。
依頼する際は、法改正を踏まえた体制で業務を行っているかを確認しておくと安心です。万が一、依頼先が法令上の問題を抱えていた場合、採択された補助金に影響が及ぶ可能性もゼロではありません。
最近では、優秀なコンサルタントの方が行政書士と連携して、コンサルティングと書類作成を分担する形が増えてきています。こうした協業体制は、それぞれの強みを活かした理想的な形と言えるでしょう。
行政書士
行政書士は、官公署に提出する書類の作成を本業とする国家資格です。
「行政書士が補助金?」と意外に思われる方も多いかもしれません。しかし、補助金の申請書類は行政機関(国や自治体)に提出する書類であり、まさに行政書士の専門領域にあたります。
2026年1月施行の法改正により、報酬を得て補助金申請書類を作成する業務が、行政書士の業務として改めて法的に整理されました。「申請書類の作成を正式にプロに任せたい」という場合、法的にも安心して依頼できるのが行政書士です。
ただし、ここで一つ大切なポイントがあります。実は、行政書士なら誰でもいいわけではありません。次のセクションで詳しく解説します。
行政書士なら誰でもいい? — 行政書士選びも重要
行政書士に補助金申請を依頼しようと決めたとき、次に考えるべきなのが「どの行政書士に頼むか」です。
実は、行政書士といっても専門分野は人によってまったく異なります。
多くの行政書士は、建設業許可・飲食店営業許可・車庫証明・相続・外国人在留資格など、許認可申請を本業としています。これらは行政書士の代表的な業務であり、長年の実績を持つ先生方が数多くいらっしゃいます。
一方で、補助金申請を強みとしている行政書士は、全体の数パーセント程度と非常に少ないのが現状です。補助金業務の経験がある行政書士は2〜3割ほどいるかもしれませんが、補助金をメインで取り扱っている行政書士は100人中2〜3人というのが実態です。
そのため、行政書士に補助金申請を依頼する場合は、補助金申請の実績や専門性があるかどうかを必ず確認しましょう。
許認可が専門の行政書士に補助金を依頼しても、期待する対応が得られない可能性があります。逆に、補助金に特化している行政書士であれば、申請書類の作成だけでなく、事業計画の策定から採択後の手続きまで一貫してサポートできます。
結局、誰に頼むのがいいの? — ケース別おすすめ
「結局、自分の場合は誰に相談すればいいの?」という疑問にお答えするために、ケース別に整理してみましょう。
「まず補助金が使えるか知りたい」
まずは顧問税理士や地元の商工会議所に相談するのが第一歩です。補助金の概要や自社が対象になるかどうかについて、無料で相談できる窓口も多くあります。
「事業計画をしっかり作り込みたい」
中小企業診断士の力を借りるのも有効です。経営の方向性を一緒に整理してもらうことで、補助金申請に必要な事業計画の質を高めることができます。
「申請書類の作成をプロに任せたい」
補助金に強い行政書士に依頼するのが確実です。法的にも安心して書類作成を任せることができます。
「全部まとめてお任せしたい」
補助金専門の行政書士なら、事業計画の策定から書類作成、採択後のフォロー(交付申請・実績報告)まで一貫して対応できる場合もあります。
迷ったら、まずは補助金に詳しい行政書士に相談してみるのがおすすめです。 相談の中で、必要に応じて税理士や診断士との連携もご提案できます。
相談先を選ぶときにチェックしたい3つのポイント
最後に、補助金申請の相談先を選ぶ際に確認しておきたいポイントを3つご紹介します。
1. 補助金申請の実績があるか
補助金は種類によって申請の仕方がまったく異なります。事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など、それぞれに独自の申請ルールや審査基準があります。実績のある専門家を選ぶことが、採択への近道です。
2. 自分の業種や申請したい補助金に対応しているか
補助金ごとに要件や申請書類の形式が異なるため、自社の業種や申請を検討している補助金に対応実績のある専門家が望ましいです。初回の相談時に確認しておくと安心です。
3. 書類作成だけでなく、採択後のフォローまで対応してくれるか
補助金は採択されて終わりではありません。交付申請や実績報告など、採択後の手続きも重要です。特に実績報告は、提出内容に不備があると補助金が減額されたり、返還を求められたりすることもあります。採択後のフォローまで対応してくれる専門家を選びましょう。
当事務所では、補助金申請に特化した行政書士として、計画策定から書類作成、採択後のフォローまで一貫してサポートしています。「まず話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
まとめ
補助金申請に関わる専門家にはそれぞれの強みがあり、「どれが正解」というものではありません。
- 税理士:財務データの提供や資金計画の策定に強い
- 中小企業診断士:事業計画の策定・経営分析に強い
- コンサルタント:幅広い支援実績を持つ方も多いが、法改正を踏まえた体制の確認が必要
- 行政書士:申請書類の作成を法的に安心して任せられる唯一の存在
ただし、申請書類の作成を正式に任せたいのであれば、行政書士、特に補助金に強い行政書士への相談が最も確実な選択肢です。
行政書士選びの際は、補助金の専門性と実績を確認することを忘れずに。「行政書士ならどこでも同じ」ではなく、補助金を専門としている行政書士を選ぶことが大切です。
