
地域経済牽引事業計画を策定するとメリットいっぱいって本当?
本ページでは、地域経済牽引事業計画を初めて聞いた人にもわかりやすく説明するとともに、
策定の手順やポイントも解説!
「地域経済牽引事業計画」って簡単にいうと何?
「東京一極集中を緩和し、地方を活性化させていこう!」という国の指針に基づく制度のひとつが、「地域経済牽引事業計画」です。
企業は「地域経済牽引事業計画」を策定し、自治体の承認を受けることで、様々な優遇措置を受けることができます。
ただし自治体の承認を受けるためには、その自治体の設定する条件に合致する必要があります。
つまり、各自治体が「地域を活性化させるために、こういう企業には特にがんばってほしい!」という思いを込めて作った条件に合致する企業が、その自治体において様々な優遇措置を受けることができるのです!
もとは地域未来投資促進法という国の法律に則った制度なので、自治体からの承認を受けることで、国からの支援を受けることもできます。
各自治体は、「基本計画」という計画を策定し、その計画の中で企業にどのような条件を満たしてほしいのかを設定しています。
とはいえすべての自治体がこの「基本計画」を策定しているわけではなく、たとえば静岡県においては、県、静岡市、浜松市、焼津市、牧之原市が「基本計画」を持っています(県も策定しているので、ここに記載のない市町の企業は、県の「基本計画」に従って地域経済牽引事業計画を作成することになります)(2024年11月現在)。
地域未来投資促進法および地域経済牽引事業計画について、詳しくはこちらのページをご覧ください(経済産業省HP)。

計画を策定することで、どんな優遇措置が受けられる?
受けることのできる支援措置は、大きく4つに分けられます。
- 税制上の優遇(税額控除や、固定資産税・不動産取得税の減免など)
- 金融面の優遇(日本政策金融公庫から固定金利で借りれる、信用保証協会の保証限度額拡大など)
- 国等の補助金申請時に加点措置を受けられる
- 工場新設時などに規制緩和を受けられる(緑地面積率の緩和、農振除外や開発許可への配慮など)
ただし、以下のとおり、いくつか注意点があります。
まず、1つ目は、「1. 税制上の優遇」を受ける場合には、自治体の承認に加えて、国の確認が必要になります。国の確認を受けるためには、「先進性」または「事業が特定非常災害の被害者の権利利益の保全に資する」の面で特に優れている必要があり、ハードルが高くなります。
なお、現状では、「1. 税制上の優遇」を受けるための国の確認は、令和6年度末までに受けなければならないことになっています。ただし、この制度は過去に2度延長されたことがあり、今回も2024年11月現在では情報が出ていませんが、今後期間が延長される可能性は十分にあります。
次に、「4. 工場立地時などに規制緩和を受けられる」については、自治体の基本計画にその旨が記載されている必要があります。一部自治体では、この支援措置は行っていないので注意が必要です。また、農地転用に関する支援措置などは、自治体の承認だけではなく、計画を実施する場所が各自治体の定める重点促進区域内でなければ受けられないなどの制限も存在します。
支援措置について、詳しくはこちらをご覧ください(経済産業省の資料)。
企業が満たすべき要件とは?
地域経済牽引事業計画を策定する企業が満たすべき条件は、自治体ごとにことなります。
ただし、多くの自治体が下記の3つの条件を設定しています(【ア】~【エ】には、自治体ごとに異なる数字が入ります)。
- 各自治体が定める基本計画に記載されている「対象となる事業分野」に合致していること
- 付加価値創出額が、計画前と比較し、【ア】万円を上回るように事業計画を設定すること
- 「経済的効果」について、以下の3項目から1つを選んで目標設定すること
- 事業者の売上が、開始年度比で【イ】%以上増加すること
- 事業者の雇用者数が開始年度比で【ウ】%以上増加すること
- 事業者の雇用者給与等支給額が開始年度比で【エ】%以上増加すること
なお、上記の【ア】~【エ】に入る数字は、静岡県の場合には以下のようになっています。
| 静岡県 | 静岡市 | 浜松市 | 焼津市 | 牧之原市 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 2. 付加価値創出額 【ア】 | 5,411万円 | 5,411万円 | 5,411万円 | 5,411万円 | 5,411万円 |
| 3. 経済的効果 A. 売上 【イ】 | 12% | 8% | 12% | 3% | 3% |
| 3. 経済的効果 B. 雇用者数 【ウ】 | 3% | 2% | 3% | 3% | 2% |
| 3. 経済的効果 C. 雇用者給与総額 【エ】 | 12% | 10% | 12% | 3% | 4% |
静岡県においては、「付加価値創出額」については県内で同じ数字が使われていますが、経済的効果の%部分には、自治体によってかなり大きな差があります。
今後、さらに「基本計画」を策定する市町村が増えることが予想されるので、静岡県の経済的効果の%指標が高すぎて手が届かないという場合には、各市町村が「基本計画」を策定するのを待ってから、地域経済牽引事業計画の策定を進めるのもいいかもしれません。
年間に各自治体が計画を承認する件数は?
自治体が、企業の策定した地域経済牽引事業計画を承認する数は、もちろん自治体ごとに異なりますが、各自治体が策定している「基本計画」の中で、承認件数の目安が明記されいています。
例えば、静岡県では、「基本計画」を持つ各自治体が、下表のとおり承認件数目安を掲げています。
| 計画期間 | 5年間での承認件数目安 | |
|---|---|---|
| 静岡県 | R6.4~R11.3(第二期) | 60件(12件/年) |
| 静岡市 | R6.4~R11.3(第二期) | 40件(8件/年) |
| 浜松市 | R6.4~R11.3(第二期) | 25件(5件/年) |
| 焼津市 | R6.9~R12.3 | 12件(2.4件/年) |
| 牧之原市 | R2.9~R8.3 | 8件(1.6件/年) |
年に何十件もの計画を承認しているわけではないので、申請を行う場合には早めに各自治体の担当に相談するなどしましょう。
詳細情報
上記に書ききれなかった詳細情報を、以下ではQ&A方式で紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 地域経済牽引事業の実施期間は?
-
実施期間は、5年を超えない範囲で定めることとし、各自治体の基本計画の計画期間終期を超えて定めることができる。
- 計画を策定した場合の支援措置は、計画期間内でしか受けられない?
-
基本的にはそのとおり。事業実施期間(最長5年)の間しか、支援措置を受けることはできない。
- 数値目標を達成できなかった時のペナルティはある?
-
数値目標に未達の場合の罰則等は設けられていないが、毎年度事業の実施状況を報告する必要がある。
- 農地転用許可等の手続きに関する具体的な配慮は?
-
①事業実施場所が農用地区域にあたる場合に、農用地区域からの除外ができる
②事業実施場所が第一種農地にあたる場合でも、農地転用が許可される
※ただし、自治体が定める基本企画において、重点促進区域に設定され、当該基本計画に基づき市町村が土地利用調整計画を策定している場合に限られる。
- 各自治体の基本計画で定められている「重点促進区域」はどのように決められる?
-
原則的には、各自治体が、それぞれの都市計画等に照らし合わせて重点促進区域を設定する。
ただし、場合によっては、企業からの働きかけを受けて、受動的に「重点促進区域」を設定することもある。
- 税制上の優遇に関連して、「法第25条、26条に基づく確認」とは?
-
自治体から承認を得た牽引事業計画の中で、特に国(主務大臣)の確認を受けたものについては、租税特別措置法(第25条)、地方税法(第26条)に関する特例を受けることができる。
第25条⇒設備投資の際の特別償却、税額控除に関する支援について書かれている
第26条⇒固定資産税、不動産取得税の減免(不均一課税)に関する支援について書かれている
なお、主務大臣の確認を受けられるのはR6年度末までであり、確認を受けるためには「先進性」または「事業が特定非常災害の被害者の権利利益の保全に資する」の面で特に優れている必要がある。
